サイバー犯罪は、相談件数が増加してきていることをご存知でしょうか。警視庁では、2017年3月に2016年に起きたサイバー犯罪に関して、検挙状況や脅威に関する情勢についての情報を公開しました。

その情報では、2016年に各都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口が受理した相談件数は、13万1518件となっています。前年比では3421件も増加していることも明らかになっているのです。

前年比は、迷惑メールについての相談は1万4583件であり、2051件減少しています。詐欺や悪徳商法に関する相談については、454件増加し6万7480件でした。不正アクセスでは、前年比で相談件数が34.4%も増えて、違法・有害情報についての相談も42.4%も
増加しているのです。

この件数を見ても、サイバー犯罪が現在どの様な傾向になっているのかがわかるのではないでしょうか。『平成28年中におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について』という報告書によれば、サイバー犯罪の検挙数は8324件であり、前年比で228件の増加となっていて、過去最高数値です。

ネットワークを利用した犯罪については、7448件であり35件減少と言う前年比です。前述していますが、迷惑メールに関する犯罪の相談件数は減少してきているのですが、不正アクセス・コンピューターウイルス関連、違法・有害情報については増加しているのが実情です。

サイバー犯罪などの相談件数の推移を見てみると、2005年以降では2006年が前年比で27.0%となっていることから、大きく減少していることがわかります。『平成18年のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について』という資料を見てみると、『ワンクリック請求を中心とする、詐欺・悪質商法』という項目が特に大幅に減少しています。

ただ、警視庁の『インターネット安全・安心相談システム』へのアクセスも急激に増えていて、こちらのサービスの中でも料金請求に関する項目へのアクセスが多くなっています。こちらのサービスは、2005年より運用されています。

一般的な相談窓口を利用していた方が、敷居の低いインターネット安全・安心相談システムが公表されたことで、こちらを利用するようになったと言えます。高齢者の方や若者が被害を受けやすいのは架空・不当請求メールなどの詐欺・悪質商法です。

それでも、こうした犯罪は法整備がされたことや色々な対策が取られたことで、このところ減少傾向にありました。しかし、2013年になると大きく増加してしまい、2009年頃とさほど変わらない数値にまで戻っています。

それからは、2016年まで増加し続けていて、相談件数を全体的に増加させてしまう要因となっているのです。迷惑メールでの犯罪は、2013年に減少していき、2014年には再び上昇、その後また2016年に減少傾向にあります。

この減少傾向が継続されれば、迷惑メールと同様時期に増加した違法・有害情報と共にネット上のコミュニケーションのツールがメールからソーシャルメディアに転換されていったことが相談件数にも影響しているのかもしれません。