ネット上で誹謗中傷されることは増加の一途を辿っています。それは、誰でも匿名で気軽に投稿できてしまう点も理由となっていると思われます。個人の場合でも心的な苦痛となるでしょうし、企業などであれば、営業面での損失もあるかもしれません。

警察にある、サイバー犯罪相談窓口への相談件数も2001年の場合は2267件だったのですが、2006年になると8000件にも急増しているのです。ただ、警察に被害届を出したとしても、警察は動いてくれるかどうかわかりません。

それでも、殺人予告であったり、脅迫などのケースでは動いてくれる可能性はあるでしょう。警察も忙しいですし、そこまで手が回らないというのが現状なのです。それならば、弁護士に依頼して民事手続きを始めるのはいかがでしょうか。

そうなると、『損害賠償請求』や『謝罪広告』を求めることになります。ネット上に誹謗中傷などを気軽に書き込んだりする人は、自分が特定されないだろうと思い込んでいます。しかし、書き込んだ本人のIPアドレスから、加害者を特定することは可能です。

とは言え、それには書き込まれた掲示板等の管理人にIPアドレスを教えてもらう必要があります。ところが、この頃ではIPアドレスを保存していないケースが多く見受けられます。何故かと言うと、管理者がトラブルに巻き込まれるのを避けるためです。

続いては、サーバー業者およびプロバイダに開示請求を行うことになります。なかなかに手間がかかる作業ではありますが、『プロバイダ責任制限法』が2001年にできています。この法律は、ネットで著作権侵害やプライバシーの侵害に遭ってしまった場合に、プロバイダが損害賠償責任をどこまで負うか、情報発信者の情報について開示を求めることが可能となるものです。

要するに、権利を侵害する書き込みがあったとしても、その事を知らないのであれば、プロバイダ側は被害者に賠償責任を負う必要がないのです。誹謗中傷などが書き込まれ、被害者側も誰が書いたか分からない場合には、プロバイダ側に削除の依頼ができるという内容も入っています。

プロバイダ側が書き込んだ相手に連絡をし、7日間経っても同意が得られなければ該当の書き込み等を公開できないようにしたり、削除できるようになりました。この措置により、書き込んだ相手に損害があったとしても、プロバイダ側には不利な面がないという法律です。

もし、民事的な解決法では納得できないというのであれば、刑事告訴する手段もあります。刑事告訴とは、『名誉毀損』や『侮辱罪』で訴えるという方法です。それでも、この点については名誉毀損や侮辱罪に当たる基準が問題になります。

その人により、どう捉えるのかが変わってくることもありますので、判断に迷う可能性もあります。その他にも、弁護士に依頼するとなるとお金もかかってきます。結果として、賠償金の額が弁護士費用の分ほどはもらえるのかはわかりません。

被害に遭った側としては、相手に制裁を加えたいなどと思うこともあるでしょう。しかし、解決までの道のりでは多くの時間や費用がかかると予想され、反対にストレスとなる可能性もある点も知っておくのが大事です。